法律は、国会で制定される国民の権利を制限したり、義務を課したり、罰則が設けられているものです。
この法律ですが、一般的・抽象的な形で定められています。
例えば、刑法199条
「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と規定されています。
一般的・抽象的に「人を殺した者」と規定されています。方法などは規定されていません。
それはなぜでしょう。
- ある特定の事項だけに法律を適用する、とすると不公平感が出る(法の下の平等に反する)
- ある特定の事項にだけ法律を適用できるとするものが制定可能であった場合、国家権力の乱用のおそれがでる
- 罰則などを恐れて人が必要以上に行動を制限されてしまうことがないように、罰則が適用される行動の範囲を明確にしておくことで、平等に適用されるようになる(予測可能性)
普通でない状況が発生したときに、どのような処理がなされるのか、を決めておくためにも一般的・抽象的に法律は規定されていなければ、秩序が乱れてしまう恐れがあります。
一般的抽象的に規定がなされていることで、どんな場合に、どんな人に適用されるのかがわかります。
殺人の場合、斧を使って、ピストルを使って、などと限定していると場合によっては殺人罪が適用できなくなります。
また、OO地域に住む人はどんな状況であっても殺人罪が適用されるとすると、不公平感が出てしまいます。
そして、OO人はどんな場合であっても逮捕できる、とすると国家権力の乱用を認めることになります。
「人を殺した者」と一般的抽象的に規定しておくことで、だれでも平等に人を殺してしまった場合には殺人罪が適用される可能性があり、「人を殺した場合」には、殺人罪が適用されるとわかることで過度に人の行動を制限しないようにできています。
そのため、法律は抽象的に規定されています。
大野