若く経済力が乏しいものに対して経済的援助をしようとするが、お金を返せないなどを理由として断られることがあることから、将来出世をしたときに返してくれたらいいという、明確に期限を設けずにお金を貸すなどの行為をしたときに「出世払い」という言葉が使われます。
期限を設けず、という言葉が出てきていることから、少し法律の観点から問題が生じ得ます。
まずは、出世払いの約束が「期限」なのか「条件」なのかが問題となります。
古い判例では「期限」(不確定期限)と判断したそうです。
期限ってなに?
期限とは、法律行為の効力が将来発生することの確実な一定の日時の到来にかかっている場合においての「一定の日時」をいいます。
不確定期限ってなに?
将来到来することは確実であるが、いつ到来するか不透明な場合をいいます。
すなわち、出世払いとは、出世するかどうかは将来到来することが確実であるが、いつ到来する不透明な場合ですよということです。
出世って確実なの?
出世することが確定しているのではなく、出世「するか・しないか」が確実に将来わかるが、その時期までは不透明なので、不確定期限ということになります。
では、出世しないことが確定した場合、出世しなくてもお金を返さなければならないのでしょうか。
これは、たとえ「出世しなかったら返さなくてもいい」といったとしても、「出世をしない」ということが確定したときに「期限」が到来したことになるので、貸主からお金の返済を要求された場合には、お金を返さなくてはならないと古い判例では言われています。
「出世していないし、約束が違う」とは言えない、厳しい現実ですね。
大野