未成年者の行為は原則として単独では行えず、必ず法定代理人による同意または後からの承諾(追認)が必要となるからです。このとき親がその親権者である地位を濫用して未成年者、つまり我が子に不利な契約をした場合、利益相反行為として無効(無権代理)となります。では利益相反行為に当たらないとしても、子に一見不利と思われる契約をした親は何のお咎めもないのでしょうか?
利益相反行為に当たらない行為については、親権者の広範な裁量(824条)に委ねられています。
そこで、それが子の利益を無視して自己または第三者の利益を図ることのみを目的とするなど、親権者に法定代理権を授与した法の趣旨に著しく反する特段の事情が存しないかぎり、法定代理権の濫用に当たらないと考えます。それほどまでに法律は親に広い権限を与えているのですね。
そして法定代理権の濫用に当たる場合に、相手方が濫用の事実を知りまたはその知ることができたときにはその行為の効果は子には及ばない(代理権の濫用107条)と考えます。
行政書士 西本