旧民法化では債権譲渡禁止特約はそれを知っている者との関係では当事者は無効主張できた。しかし知らない者との関係ではその者が善意無重過失であれば対抗できないとされていた。

ここは解釈上批判の多い所であったため、新民法化では、債権譲渡禁止特約があったとしても譲渡そのものは有効とした。ただし、禁止特約につき悪意または重過失のある者に当該債権が渡ってしまえば、その新債権者に対し、債務者は履行を拒めるし、もともとの債権者に対する弁済で当該債権を消滅させることも出来るとして債務者の保護をはかった。

ほとんど旧、新で変わりはないように感じるかもしれないが実はそうでもない。

新法では債権譲渡禁止特約が付いている債権譲渡であっても有効であるという点である。譲受人が禁止特約に悪意であったとする。すると債務者に当該債権を行使しても履行拒否をされる、かといって債権譲渡は有効であることから譲渡人に解除、または債務不履行による損害賠償請求は行使できないことになる。結局禁止特約が付いているのにそれを譲り受けるということが一番わるいということである。これは確かに従来よりは公平な結果になるので良い改正であろう。

西本