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被害届と告訴状

何か犯罪に巻き込まれた、出くわした、犯罪の疑いがあると考える場合において、被害届や告訴状という言葉が出てくるかと思います。

どちらも被害者等が犯罪の被害について捜査機関に届け出る・申告することを指します。

これにより捜査機関が捜査を開始するきっかけとなることもあります。

①被害届
犯罪の被害者が捜査機関に被害の事実を申告すること、又はその書類

②告訴状
犯罪の被害者やその親族等の告訴権を持つ人が、捜査機関に被害の事実を申告すること、又はその書類で、犯人の処罰を求めること

両者の違いは、「犯人の処罰を求める意思が表示されているかどうか」です。

被害届は犯罪の事実を届出るもので、犯人の処罰を求める意思は含まれていません。
そのため、捜査機関が捜査をしてくれるかどうかわかりません(捜査機関の判断にゆだねられます)

告訴状は、法律で定められた告訴権者による被害の事実の申告で、そこには犯人の処罰を求める意思表示が含まれています。
そして、告訴状を受理した捜査機関は、捜査を開始する義務が生じます。

例えば・・・

  1. 誹謗中傷を受けた
  2. 侮辱された
  3. 著作権侵害をされた
  4. 物を盗まれた
  5. 物を壊された
  6. 会社の物を自分の物にされた
  7. 性犯罪を受けた

著作権侵害の場合

例えば、著作権について考えてみましょう。

著作権侵害が成立するには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 依拠性
    他人の著作物に依拠している(利用して作られた)
  2. 類似性
    他人の著作物に類似している(創作、表現が似ている)
  3. 利用行為
    他人の著作物を無断で利用している(利用権限がない)

そして大前提として、「著作物」であることが必要です。

著作物(著作権法第2条第1項第1号)と認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 思想又は感情を含むこと
  2. 創作又は表現したものであること
  3. 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであること

書き方

被害届・告訴状は書き方が定められているわけではありません。

自由に書いて、捜査機関に提出すればよいことにはなっています(法律で定められた書式はないため)。

自由に書きましょう?

被害届・告訴状に書式はありませんが、何を自由に書いてもよいわけではありません。

強力な国家権力が動くことになりますから、ちょっとしたことでは捜査権を発動してくれません。

「ちゃんとそこに犯罪があった」ということを示すことが大切になります。

捜査機関に動いてもらうためには、正しく犯罪事実を伝えるということが重要です。

刑事事件において法的に必要とされる事実を整理し記載している文書が求められることになります。

伝え方の一例

捜査機関に伝えることが大切です。

でも、法律で求められている要件なんて知らない。

法律を知らなかったとしても、例えば5W1Hを意識してみるだけでも全然違います。

  1. 誰が、誰に
  2. いつ
  3. どこで
  4. 何をされたのか
  5. どうしてそう考えるのか
  6. どんな方法だったのか

これを意識するだけで全然違います。

極端ですが・・・

「私、犯罪にあったんです。」 端的でわかりやすいですが・・・・

「私は、OO月XX日の△△時ころ、甲スーパーで、肩にかけていた財布が入った黒の鞄を後ろから来たAさんに盗まれました」 こっちの方が捜査機関としては動きやすいようです。

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被害届・告訴状と捜査機関

被害届と告訴状について書いてきましたが、何か捜査機関に相談するハードルが高そうと感じた人もいるかもしれません。

そんなことはなく、ご自身、ご家族と最寄りの警察署に出向き、被害内容についてご相談なされたら、警察官はきっと親身になりお話を聞いてくれるかと思います。

ただ、被害届・告訴状のスムーズな進行ができるかどうかは別問題です。

そもそも被害届・告訴状は捜査機関として受理する必要とされていますが、受理してくれなかったという話がよく出てきます。

その理由は様々です。

そもそも犯罪とは考えられるものではなかったというものもあれば、その書類を提出することができる人ではなかった、立件することが難しそう、などなどです。

作成相談

でも、被害届・告訴状をきちんと出したい。とお考えの方もいらっしゃるかと思います。

当事務所は告訴状被害届・告訴状の作成相談を承っております。

被害届にせよ、告訴状にせよ提出する場合は、また何らかの犯罪の被害者(場合によっては加害者)になった場合の相談相手は原則警察署ということになります。

しかし、警察に行くのはちょっとハードルが高い、その前に被害届というのはどういう風に作成するのか、警察に行くとどういう手続きの流れになるのか、ちょっとしたことであっても警察に行く前にまず聞いておきたいということがあります。

このような時の相談相手はどこになるのでしょうか?

町の市役所でもよいかもしれません、そして最寄りの行政書士事務所ということになろうかと思います。

行政書士には守秘義務がありますので、あなたが抱えている問題の内容が外部に漏れることはありません。
ぜひご相談にいらしてください。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本