売り手と買い手は表裏一体です。誰かが買いたいと思う商品を売れる人間は、利益を手にします。その利益で欲しいと思う商品を誰かから買うという構造が経済です。
ではどうすれば売れるのでしょうか?売るためには条件が2つあります。1つは人が欲しいと思う商品を作ることです。当然ですが自分が売りたい商品ではだめです。いくら売りたいと思っても買いたい人がいないと売れませんから、価値がありません。もちろん自分の中で価値があるということと社会的に価値があるということは必ずしも一致しません。ここでは社会的に価値があることを前提にします。
もう1つは性格が良いことです。いくら社会的に価値ある良いものを売っていても嫌な人からは買いたくありませんよね。ですので売り手の人間性は重要な要素になります。
もっともこの2つの比重は状況によって変わります。例えば、今マスクが品薄です。売り手の性格が悪くても商品にしか目がいきませんから、この場合人間性が多少悪くとも売れてしまいます。しかしマスクが潤沢に出回ればこれは通用しなくなります。
一方で同じ商品が二つ並んでいてどちらから買うかという場面で、人間性が良い方から買うといったことも往々にしてあります。
この理屈は実は買い手にも言えることです。買う方もお金を出す訳ですから、より売り手の利益になるように払う、人間性が良い方が適切で良いサービスを受けられる可能性は高いと言えます。
日本のサービスは世界的に見てもレベルが高いと言われます。何をもってレベルが高いのかというのは難しいですが、とりあえずは買った人が居心地よくまた来ようと思えるようなサービスを展開できるという意味でしょう。そうはいっても売る方も人間です。この人には売りたくないと思うことがあるものです。
買う方は売る方がお金を欲しがっていると勘違いをしている人がたまにいらっしゃいます。ここでいうお金を欲しがるということの中には贅沢がしたい、ただお金が欲しいという意味です。
ですので、買う方は売る方の状況を考えずに行動することがあります。
居酒屋で効率悪く注文したり、大人数でレジで割り勘にしたり、ラーメン屋さんで必ず横一列にならないダメだという3人組の方、気に入らない態度だと店先で怒鳴る方、これらは論外ですが、たまにいらっしゃいます。しかしこれ以外にも、相当長い時間お店に居座る方、安くするのが不可能な商品を安くしてくれという方、忙しい店舗で特別扱いを求める方、話しかける方、ポイントやクーポンのみで商品を購入しようとする方などもいらっしゃいます。
すべて大切なお客様です。ただお店や会社といったサービス提供者からするとそのお店等を維持するのにお金が必要なだけで、贅沢しようと考えているわけではないのです。ご自身からすると値段が高いと思われることでもそれにはきちんとした理由がありその料金を設定しているのです。
もちろん、売り手が傲慢になってはいけません。売ってやっているなんて態度は論外です。お客様がいなければお店等は維持できないのも事実ですから大切にします。ただ持ちつ持たれつ、社会の構造をご理解いただき、売り手、買い手に上下などなく皆さんが気持ちよく社会生活を送るための一部であるということを認識してほしいとは思います。
その上でこれからも商品を購入したりサービスを購入してもらいたいと思います。
西本