原始取得と承継取得とは?違い・意味・具体例をわかりやすく解説
法律の世界では、物や権利を「どうやって手に入れたのか」がとても重要です。
その取得方法は、大きく 「原始取得」 と 「承継取得」 に分けられます。
名前だけを見ると難しそうですが、考え方はシンプルです。
目次
原始取得とは何か?
原始取得の意味
**原始取得(げんししゅとく)**とは、
他人の権利に依存せず、最初から自分のものとして取得すること
をいいます。
誰かから「引き継ぐ」のではなく、
新しく権利が生まれるイメージです。
原始取得のポイント
- 前の所有者の権利に影響されない
- 原則として、第三者の権利が消える
- 「最初の取得」に近い考え方
原始取得の具体例
① 無主物先占(民法206条)
誰のものでもない物を最初に取得すること。
例
- 海や山で落ちていた所有者不明の物を拾う
- 無人島で自然に生えていた竹を切る
👉 以前の所有者がいないため、原始取得。
② 時効取得(民法162条)
一定期間、平穏・公然に占有を続けた場合。
例
- 他人名義の土地を20年以上、自分の土地として使い続けた
👉 元の所有者の権利とは無関係に、新たに所有権を取得。
③ 加工・混和・付合
物が加工・結合されて、元に戻せなくなった場合。
例
- 他人の材料で家具を作った
- 土地に建物が建てられた
👉 新しい物として原始取得が生じる場合がある。
承継取得とは何か?
承継取得の意味
**承継取得(しょうけいしゅとく)**とは、
他人が持っていた権利を引き継いで取得すること
です。
「前の人の立場をそのまま引き継ぐ」イメージです。
承継取得のポイント
- 前の所有者の権利内容を引き継ぐ
- 制限や負担も一緒に引き継ぐ
- 日常生活で最も多い取得方法
承継取得の具体例
① 売買
例
- 不動産を売買契約で取得する
- 中古車を購入する
👉 売主の権利をそのまま引き継ぐ。
② 相続
例
- 親の土地や預金を相続する
👉 被相続人の権利・義務を承継。
③ 贈与
例
- 親から子へ不動産を贈与
👉 贈与者の権利を承継取得。
原始取得と承継取得の違い
| 項目 | 原始取得 | 承継取得 |
|---|---|---|
| 取得方法 | 新しく取得 | 引き継ぎ |
| 前所有者 | いない/無関係 | 存在する |
| 権利関係 | 原則クリア | 制限も承継 |
| 代表例 | 時効取得 | 売買・相続 |
なぜこの違いが重要なのか?
① 第三者の権利との関係
- 原始取得:抵当権などが消える場合がある
- 承継取得:抵当権もそのまま残る
👉 不動産トラブルで特に重要。
② トラブル時の責任の範囲
- 承継取得:前所有者の事情を引き継ぐ
- 原始取得:原則として影響を受けない
よくある誤解
Q:お金を払って買ったら必ず承継取得?
👉 原則は承継取得だが、例外あり
競売による取得など、
性質上、原始取得と扱われる場合もあります。
まとめ
- 原始取得:他人に依存しない、新しい取得
- 承継取得:他人の権利を引き継ぐ取得
- 日常生活では承継取得が多数
- 不動産・相続では原始取得が問題になる場面も多い
大野