スマホやカメラで当たり前のように撮る「写真」。でも、その言葉が生まれたのは意外と最近のことです。そして、それを作ったのは イギリスの天文学者ジョン・ハーシェル(1792–1871) だということをご存じでしょうか?
1. 「photography=光で描く」を生み出した天文学者
1839年、フランスのダゲールが「ダゲレオタイプ」という銀板写真を発表し、写真術が世界に広まり始めた頃、ジョン・ハーシェルはイギリスで新しい技術の命名に関わりました。
彼は、ギリシャ語由来の言葉を使い、 「photo(光)」+「graphy(描く)」=photography という言葉を提案しました。
直訳すれば「光で描く」、つまり 光によって像を写し取る技術 を指す言葉です。
この命名が世界的に広まり、今でも「photography=写真」という言葉のルーツになっています。
2. 写真技術の定着にも貢献
ジョン・ハーシェルは言葉を作っただけでなく、写真を「消えないように残す方法」も発見しました。
それが、 チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)による定着法 です。
これにより、撮影した写真を長期間保存できるようになり、現代のアルバムやデジタル写真への道が開かれました。
3. 日本との関わり
日本に写真が伝わったのは幕末から明治初期。
外国との交流が増える中で、写真は「寫眞(しゃしん)」と表記され、「真を写す」という意味で受け入れられました。
ジョン・ハーシェルの作った「photography」という概念と、日本での「寫眞」という表現は、意味の上で響き合っています。
幕末の志士や明治の政治家たちの肖像写真も、ハーシェルの言葉と技術があったからこそ可能になったのです。
4. 今私たちが使う「写真」はハーシェルの遺産
- 家族や友人との写真 📷
- 証明写真や記念写真 🏫
- SNSの投稿やスマホのアルバム 📱
これらすべて、ジョン・ハーシェルが「光で描く」という言葉を作ったことから始まったともいえます。
天文学者として星を観測し、写真術を言語化したハーシェル。
科学の発展だけでなく、文化や日常生活にまで影響を与えた人物なのです。
まとめ
ジョン・ハーシェルは単なる天文学者ではなく、写真という概念を世界に広めた言葉の生みの親でもあります。
夜空を見上げる私たちの目の前には、彼の「光で描く」という発想が静かに息づいているのです。
大野