ブログやSNSで他人の文章、画像、動画、音楽を使いたいとき、著作権のルールを守ることは非常に重要です。
知らずに引用や転載をすると、法的トラブルになる可能性があります。
今回は、ブログやSNSでの引用のルールと注意点をわかりやすく解説します。
1. 著作権とは?
著作権とは、創作物(文章、画像、音楽、映像など)を作った人が持つ権利です。
具体的には以下の権利があります。
- 複製権:コピーや転載を許可なく行えない
- 公衆送信権:インターネット上に配信する権利
- 翻案権:改変して利用する権利
- 公表権・氏名表示権:公開するかどうか、作者名を表示する権利
つまり、著作権者の許可なしに使うことは原則として違法です。
2. 引用のルールとは?
著作権法では、引用であれば一定の範囲で使用が認められています。
引用として認められるためには、以下の条件が必要です。
引用の条件(日本の著作権法第32条)
1. 公表された著作物であること
引用の対象となる著作物は、すでに世の中に公表されている必要があります。未公表の原稿や資料は、原則として引用できません。
2. 引用の必然性があること
引用する目的が正当なものであり、その引用が、報道、批評、研究といった目的を達成するために不可欠であることが求められます。単なる情報の羅列や、自分の主張を補強するためだけに引用することは避けなければなりません。
3. 主従関係が明確であること
引用される著作物は、あくまでも自分の作品(主)を補完する役割(従)である必要があります。分量だけで判断されるわけではありませんが、引用部分が作品全体の大部分を占めてしまうような場合(量的な主従関係)、著作権侵害と判断される可能性があります。
4. 明瞭に区分されていること
自分の文章と引用部分が明確に区別されている必要があります。
- テキストの引用: 引用符(「」)で囲む、引用ブロックを設ける、文字の大きさを変えるといった方法で、引用部分がどこからどこまでかをはっきりと示します。
- 画像・図表の引用: 引用する画像や図表の出典を、キャプションなどを用いて明確に示します。
5. 出典を明記すること
著作権法48条に基づき、引用の出所を明記する義務があります。出典の明示が不十分だと、32条の「公正な慣行」に反すると見なされ、結果的に違法な引用となる場合があります。
6. 引用部分を改変しないこと
著作者には、著作物の内容や表現を勝手に変えられない「同一性保持権」があります。引用部分の文章を自分の都合で改変したり、要約したりすることは原則としてできません。
出典の書き方の例
- 書籍の場合: 書籍名、著者名、出版社、ページ数などを記載。
- ウェブサイトの場合: ウェブサイト名、ページのタイトル、URL、アクセスした日付などを記載。
- 出典を記載する場所: 引用箇所の直後が原則ですが、論文のように引用が多い場合は、章末や文末にまとめて記載することも認められます。
引用方法を誤った場合の注意点
- 出典明記があっても違法になるケース: 引用部分が多すぎたり(主従関係の逆転)、自分の作品のオリジナリティが乏しい場合、出典を明記していても違法と判断されることがあります。
- 「孫引き」の回避: 引用元が別の文献からの引用であった場合、元の文献までさかのぼって出典を確認することが望ましいです。
これらのルールを守ることで、他者の著作物を尊重し、自身の作品に正当な形で引用として利用することができます。
3. ブログやSNSでの注意点
(1) 記事や文章の引用
- 数行程度であれば引用として認められる可能性が高い
- 文章の大部分をコピーするのは違法
(2) 画像・動画の引用
- SNSやブログで他人の画像を無断で使用すると原則違法
- 「スクリーンショットで引用」する場合も、必要最小限に留め、出典を明示する
(3) 音楽やBGM
- YouTubeやTikTokの動画音源も著作権保護の対象
- 無断使用は削除・アカウント停止・損害賠償の対象になることがある
(4) SNS投稿のシェアとの違い
- SNSの「シェア」や「リツイート」は、プラットフォームの許可範囲内であれば合法
- ブログにコピーして貼り付けることは、引用の条件を満たさなければ違法
4. 安全に引用するポイント
- 必要最小限の範囲で引用する
- 文章や画像を全てコピーせず、要点のみ使用
- 自分の意見や解説を主体にする
- 引用部分は補足で、文章の主役は自分
- 出典を明記する
- 「出典:〇〇サイト」「著者:〇〇」などを必ず記載
- 商用利用は特に注意
- 商用ブログや広告付きSNSは、引用の範囲が厳しく判断されやすい
5. まとめ
- 著作権は創作物の無断利用を禁止する権利
- 引用は条件を満たせば合法だが、主従関係・範囲・出典明示が必須
- 文章・画像・音楽・動画などの引用は、必要最小限・自分の解説主体・出典明示が安全
- 商用利用やSNS転載は特に慎重に判断すること
ブログやSNSでのコンテンツ作りでは、著作権を意識した引用が読者からの信頼にもつながります。
安全に引用して、トラブルを避けながら情報発信を行いましょう。
大野