目次
1. 原状回復とは
原状回復とは、簡単に言うと 受け取った物や金銭を元の状態に戻すこと です。
法律上は、当事者間の公平を保つために求められる義務で、以下のようなケースで発生します。
- 契約解除
- 契約取消
- 賃貸契約終了時(退去時)
2. ケース別の原状回復
ケース | 法的根拠 | 原状回復の対象 | 法的効果 | 特徴・ポイント | 具体例 |
---|---|---|---|---|---|
契約解除 | 民法545条 | 受け取った物・金銭 | 契約は将来に向かって効力消滅 | – 契約は解除により将来効力が消滅 – 受け取った物や金銭を返還する義務が生じる – 損害賠償請求も可能 | 売買契約で代金未払い → 売主は商品を返還、買主は代金返還 |
契約取消 | 民法121条の2 | 受け取った物・金銭 | 契約は初めから無効 | – 契約は初めから無効とみなされる – 無償契約や未成年者契約の場合、返還義務は現存利益の範囲に限定される – 取消権者のみが行使可能 | 未成年者のスマホ購入取り消し → スマホと代金を返還、詐欺による車購入取り消し → 車と代金を返還 |
賃貸退去時 | 民法621条 | 賃借物の損傷 | 契約終了後の返還義務 | – 賃貸借契約終了時に原状回復義務が生じる – 通常の使用や経年変化による損耗は免責 – 使用や改造による損傷は修繕義務の対象 | 賃貸アパート退去 → 壁紙の張替えや設備修理、カーペットのクリーニング |
3. ケースごとのポイント
契約解除
- 契約は将来に向かって効力が消滅
- 受け取った物や金銭を返還する義務が生じる
- 損害賠償請求も可能
契約取消
- 契約は初めから無効
- 取消権者のみが行使可能
- 無償契約や未成年者契約では、返還義務は現存利益の範囲に限定
賃貸退去時
- 契約終了時に原状回復義務が生じる
- 通常の使用や経年変化による損耗は免責
- 使用や改造による損傷は修繕義務の対象
4. まとめ
原状回復の共通点:受け取ったものや利益を返す義務が生じる
違い:
契約解除 → 契約は将来効力消滅、損害賠償請求も可能
契約取消 → 契約は初めから無効、現存利益の範囲で返還
賃貸退去 → 契約終了後に原状回復義務、通常損耗は免責
大野