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「なんか同じこと言ってるな…」と思ったことはありませんか?
議論をしていると、どうしても相手が
「それってさっきと言ってること同じじゃない?」
「言い方は違うけど、結局同じ主張だよね…?」
という状態になることがあります。
このようなケースは、**トートロジー(同語反復)や循環論法(堂々巡り)**といった、議論を前に進めない典型的な話し方に陥っていることが多いのです。
では、そんな相手にどう対応すればいいのでしょうか?
トートロジーと循環論法のおさらい
● トートロジーとは?
言葉を変えて同じ意味を繰り返すこと。
新しい情報がないため、主張の説得力を持ちません。
例:「安心な会社は安心だから信頼できる」
● 循環論法とは?
主張を正当化するために、その主張自身を根拠にしてしまう論法。
まるでメビウスの輪のように、話が回るだけで前に進みません。
例:「彼は正しい。なぜなら正しいことしか言わないから」
同じことを繰り返す相手への対処法【ステップ別に解説】
ステップ1:まずは「否定しない」
真っ向から「それ、同じこと言ってるだけだよ」と否定してしまうと、相手は防衛的になり、ますます話がかみ合わなくなります。
✅「なるほど、そういうところを大事にしてるんですね」と一度受け止めることが第一歩です。
ステップ2:たとえ話で“論理構造”を見せる
相手が言っていることの「論理の構造」が堂々巡りであることを、自分の言葉で説明するより、たとえ話や第三者視点で置き換えて見せると、理解が深まりやすくなります。
例:「『この店は美味しい。なぜなら人気だから』って話と似てるかも。人気がある理由をもう一歩掘り下げられたら、もっと伝わりそうですね。」
ステップ3:「主張」と「根拠」を問い直す
同じ主張を繰り返す人には、「それはあなたが“そう感じてる”こと?それとも“証拠がある”こと?」とやさしく整理を促す質問をしてみましょう。
このステップでは、以下のような問いが効果的です。
- 「その理由って、どこかで見た情報ですか?」
- 「もし別の意見の人がいたら、どう説明しますか?」
それでも理解できない場合は?
✔ 会話を“保留”する勇気も大切
どうしても話が噛み合わない場合、無理に論理で突破しようとすると、相手の感情がこじれたり、議論そのものが壊れてしまうリスクがあります。
そんなときは、議論を一時中断するのも、成熟した判断です。
✅「このテーマは、もう少し時間をかけて考えてもいいかもしれませんね」
✅「また、別の視点から話せるといいですね」
なぜ人は同じことを繰り返してしまうのか?
これは、単なる論理の問題ではなく、心理的な要因も関係しています。
- 自分の考えをうまく言語化できない
- 自分の価値観を否定されたくない
- 勝ち負けにこだわってしまっている
- 思考が整理されておらず、言葉だけが回っている
こうした背景があるため、「言い負かす」ことが目的になると逆効果になるのです。
建設的な議論のために大切なこと【まとめ】
ポイント | やるべき対応 |
---|---|
否定しない | まず受け止める・共感を見せる |
例え話を使う | 自分の言葉ではなく別視点で伝える |
問いを返す | 主張と根拠を区別させる手助けをする |
無理に進めない | 一時保留し、感情の消化を待つ |
最後に:議論は“論破”ではなく“理解の共有”
トートロジーや循環論法を使ってしまう人も、必ずしも悪気があるわけではありません。
多くの場合、「わかってほしい」という気持ちが先に立って、言葉が堂々巡りになってしまっているだけです。
だからこそ、一歩引いて、問いかけ、丁寧に構造を示す。
それが、相手の思考を整理し、本当の対話を生むきっかけになります。
建設的な議論は、相手を変えることではなく、相手と一緒に考えることから始まるのです。
大野