「別格の神社」といえば?
「日本で別格の神社といえばどこか?」という問いに、多くの人は「伊勢神宮」と答えるでしょう。
伊勢神宮の主祭神である**天照大御神(あまてらすおおみかみ)**は、皇室の祖神であり、日本神話においてもっとも尊い存在とされています。
その影響力は圧倒的で、「日本人の総氏神」とも称されるほど。まさに神社界の頂点といえる存在です。
では、「初代天皇」が祀られている神社は?
天照大御神の子孫である**神武天皇(じんむてんのう)**は、日本の初代天皇とされています。
皇紀元年(西暦紀元前660年)に橿原宮で即位し、現在に至る天皇の系譜の始まりとなる存在です。
では、その神武天皇を祀る神社やお墓はどこにあるのでしょうか?
あまり耳にしない方も多いかもしれませんが、奈良県橿原市にある**橿原神宮(かしはらじんぐう)**がその聖地です。
橿原神宮とは?
◇ 概要
- 所在地:奈良県橿原市久米町934
- 創建:明治23年(1890年)
- 主祭神:神武天皇、媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)
橿原神宮は、神武天皇が即位したとされる伝承地「橿原宮跡」に建てられた神社です。
畝傍山(うねびやま)のふもとに鎮座し、神聖な空気が流れる荘厳な雰囲気を漂わせています。
◇ 歴史と特徴
橿原神宮は、明治政府が国家の起源を尊ぶ場所として創建した神社で、伊勢神宮と並ぶ「国家的祭祀」の場とされています。
日本書紀や古事記に記される「神武東征」の終着点であり、国のはじまりを象徴する地でもあります。
神武天皇陵とは?
神武天皇の御陵(お墓)は、橿原神宮からそれほど遠くない場所にあります。
- 正式名称:畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)
- 所在地:奈良県橿原市大久保町
静かな自然の中に整備された陵墓は、宮内庁の管轄で管理されており、一般参拝者も遠くから拝むことができます。
伊勢神宮と橿原神宮の違いとは?
項目 | 伊勢神宮 | 橿原神宮 |
---|---|---|
主祭神 | 天照大御神(皇室の祖神) | 神武天皇(初代天皇) |
位置付け | 神話の中心、神の祖先 | 歴史の起点、人の祖先 |
創建 | 古代(伝・垂仁天皇時代) | 明治時代(1890年) |
所在地 | 三重県伊勢市 | 奈良県橿原市 |
どちらも「日本のはじまり」に深く関わる聖地ですが、神の祖先を祀る伊勢神宮と、人の祖先(天皇)を祀る橿原神宮という意味で、位置づけが異なります。
一度は訪れたい、国家の原点
橿原神宮や神武天皇陵は、歴史や神話の教科書に載っているだけでなく、実際に「その場」を体感できる稀有な場所です。
春は桜、秋は紅葉と、四季折々の自然も美しく、広大な境内をゆっくりと歩くだけでも心が洗われるようです。
近くには藤原京跡や飛鳥地方など、古代日本の中心だった場所も多く、歴史好きにとってはまさに聖地巡礼のような旅になるでしょう。
まとめ
- 橿原神宮は、初代天皇・神武天皇を祀る神社で、奈良県橿原市にある。
- 神武天皇陵(畝傍山東北陵)も近くに所在し、歴史的・神話的に重要な聖地である。
- 明治時代に創建されたが、国家神道や皇室との関わりも深く、伊勢神宮と並ぶ象徴的存在。
- 奈良観光の際には、飛鳥や藤原京とあわせて訪れたい神社の一つ。
神話の世界と、歴史の世界が交差する場所――橿原神宮へ、あなたも一度足を運んでみませんか?
大野