フリーランス新法に違反した事業者はどうなるか~平成の感覚の事業者の末路~
2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、いわゆるフリーランス新法。
この法律は、個人事業主や副業ワーカーなど「フリーランス」と呼ばれる人たちを守るために制定されたものです。
企業がフリーランスに対して一方的に不利な契約を押し付けたり、支払いを遅らせたりすることが問題となったことが背景にあります。
では、この法律に違反した事業者はどうなるのでしょうか?
1. 行政指導・勧告を受ける
まず最初の段階は「行政指導」です。
フリーランス新法の違反が疑われる場合、公正取引委員会や厚生労働省が事業者に対して改善を求めます。
たとえば以下のような行為です:
業務委託契約書を交付していない
支払期日を過ぎても報酬を払わない
不当な再委託禁止や、成果物の使い方を制限している
この段階で改善すれば、重大なペナルティには進みません。
2. 勧告を無視した場合は「公表」される
行政からの勧告を無視し、改善を行わない場合、事業者名が公表されます。
これは事実上の社会的制裁です。
「○○株式会社はフリーランス新法に違反した」
この一文が報道に載ることで、信用が失墜し、取引先や顧客からの信頼を失うリスクが生じます。
企業にとって“名前が出る”ことの影響は、金銭的罰則以上に大きいと言われています。
3. 悪質な場合は「罰則」の対象に
勧告を無視し、さらに違反行為を繰り返すような悪質なケースでは、刑事罰の対象になります。
主な罰則は以下の通りです:
6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(虚偽報告や報告拒否など)
両罰規定あり(法人と個人の双方に責任が及ぶ)
つまり、形式上は「民間取引の自由な契約」でも、法の枠を越えれば刑事責任を問われる可能性があるということです。
4. 法律の目的は「罰すること」ではない
フリーランス新法は、事業者を敵視するための法律ではありません。
目的は「健全な取引関係を築くこと」。
契約書をきちんと交わす
報酬を適正に支払う
不当な拘束をしない
この3つを守ることで、フリーランスと企業の間に“信頼のあるパートナーシップ”を築けます。
まとめ
フリーランス新法に違反した事業者は、
行政指導 → 2. 勧告 → 3. 公表 → 4. 罰則
という流れで処分を受ける可能性があります。
一方で、この法律は「取引を萎縮させる」ためではなく、「公正なルールの上で安心して働ける環境を整える」ためのもの。
フリーランスも事業者も、「契約書を交わす」「支払いを明確にする」「立場を尊重する」——。
その基本を守ることが、結果的に双方の信頼と持続的なビジネスを生み出すのです。
南本町行政書士事務所 代表 西本