離婚とは、夫婦が生存中に婚姻関係を解消することを言います。

その方法は、主に以下の3つです。

  1. 協議離婚(民法第763条)
    夫婦が話し合いで離婚をする場合です。
  2. 調停離婚(家事事件手続法第244条、人事訴訟法第2条1号)
    家庭裁判所を使って話し合いで離婚をする場合です。
  3. 裁判上の離婚(民法第770条)
    調停でも離婚の合意ができなかった場合に、家庭裁判所に訴訟を提起し(調停前置主義、家事事件手続法第257条)判決により強制的に離婚をする場合です。

離婚できない??

ちょっと待ってください。冒頭の文をサラッと読み過ごしていませんか?

離婚の方法の説明でしょ?

確かにその説明をさせていただきましたが、もっと序盤です。

離婚は夫婦が生存中に婚姻関係を解消すること言います。の箇所です。

そうです。

夫婦が離婚をする上記のいずれかを使って婚姻関係を終了させる、離婚をするには、

夫婦が「生存」していなければなりません

すなわち、婚姻中に夫又は妻がお亡くなりになった場合、離婚をすることができません。

これはあくまで夫、妻が「生存中」にお二人で離婚することを想定しているからです。

もう少し踏み込んで説明すると、

配偶者と死別した場合、配偶者との婚姻関係は何らかの手続きを要することなく解消するためです。

よって、死亡した夫又は妻と離婚することはできません。

契約に関する画像

死後離婚とは

配偶者と死別した場合、何ら手続きを要することなく婚姻関係は解消されますが、死後離婚という言葉を聞いたことはありませんでしょうか?

死別した場合、「離婚」することはできないのに、なぜ死後離婚という言葉があるのでしょうか。

死後離婚とは何か?

これは姻族関係を終了させる手続きのことを指します。

死後離婚と姻族関係の解消

姻族関係とは、配偶者と他方配偶者の血族との関係を指し、婚姻によって結ばれる親族関係です。

妻から見て、夫の両親、兄弟姉妹などです(逆もしかりです)。

民法では、姻族関係は「離婚により終了」すると規定されております(民法第728条第1項)。

離婚によって法律上当然に姻族関係は終了することになっています。

夫婦の一方が死亡した場合には、離婚することはできないというのは説明した通りです。

では、姻族関係はずっと続くのでしょうか?

これについても民法に規定があります(民法第728条第2項)。

その規定によりますと、生存配偶者と死亡配偶者の血族との間の姻族関係を終了させるか否かは、生存配偶者の意思に委ねられており、姻族関係終了させる場合、その意思を表示する必要があります。

民法第728条
① 姻族関係は、離婚によって終了する。
② 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

こんなことありませんか?

死後離婚という言葉は法的に意味合いのあるものではなく、配偶者の死後、その配偶者の家族と法的に縁を切るという手続きのことです。

  • 離婚している場合は法律上当然に姻族関係は終了しますが、離婚していない場合は続きます。
  • 配偶者の一方が死亡した場合、離婚ができません。
  • 一方の死亡により離婚ができないとなると、姻族関係は続きます。
  • これを解消するためには、解消する意思表示をする必要があります。

離婚をしていない場合、姻族と良好な関係を築けているのであれば、その後も親戚関係を続けていけば良いのです。

しかし、そうもいかない事情がある場合もございます。

そこでこのような制度が用意されているわけです。

様々な原因で姻族関係を解消しようと考える方はいらっしゃるのではないでしょうか?

えば・・・・

  • 姑問題
  • 姻族の老後の介護問題を抱えていらっしゃるケース
  • 配偶者から生前にモラハラ(※)があった場合
  • 婚約者亡き後もその方たちと関係を持つのが苦痛

※モラハラとは暴力は振るわず言葉や態度で嫌がらせをし、いじめること。精神的暴力。精神的虐待。

姻族関係を終了させることのメリットとしては以下のものが挙げられます。

  1. 義理両親の介護や扶養の義務がなくなる
  2. 義両親との同棲を解消しやすい
  3. 遺族年金はもらえる

死後離婚手続き(姻族関係終了届の代理作成及び姻族への代理通知サービス内容)

本サービスの内容は、以下となります。

  1. 姻族関係終了届の代理作成及び居住地の市区町村役場への代理提出
  2. 姻族への代理通知
書面を作成している画像

具体例

Aさんの具体例(ご了承を頂いたうえで、守秘義務に反しない範囲でご紹介します)

夫を交通事故で亡くしたAさん。
夫との関係は良好であったものの姻族(夫の両親、兄弟姉妹)との関係はあまり良くなく、なるべく相手方の実家には顔を出したくないと夫が生きている間も思っていたそうです。
そんな折に不慮の事故で夫が亡くなってしまいました。数年後に訪れるであろう姻族(夫の両親)の介護の事を考えると、何とも言えない気持ちになったそうです。夫の両親のため無碍に扱うことはできないという気持ちはありながら、今までのAさんに対する夫の両親の接し方を考えるとこのままでいいのかという考えに至ったそうです。
そして、ネットで検索していた際に死後離婚というものがあるということを知り、このタイミングで死後離婚をするべきだと考えられたそうです。
ただAさんご自身で書類を作成、提出をするには時間も手間もかかりますし、そもそもどういった手続きをするのかがよくわからず、一人で行うには不安があったそうで、相談に来られました。
無事、書類を作成・提出を行い、姻族への通知義務はないものの、これまでの不満を伝えないままなのはもやもやが残りますから、言いたいことを書いた文書を相手に送付いたしました。

本サービスはそういう方のためのサービスとなります。

料金

サービス内容:姻族関係終了届の作成(及び修正)、代理提出・姻族への代理通知

料金:22,000円~