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「持分」と「株式」は何が違う?会社に出資するときの基本をわかりやすく解説

「会社にお金を出して、その会社の一員になる」

こう聞くと、株式会社の「株式」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

一方、合同会社などでは「株式」ではなく、「持分」という言葉が使われます。

どちらも会社への出資に関係する言葉ですが、持分と株式は同じものではありません。

今回は、株式会社の「株式」と、合同会社などの「持分」の違いについて、できるだけわかりやすく整理してみます。

目次

そもそも「株式」と「持分」とは?

まず、大まかに考えてみましょう。

株式会社では、出資をすると、その出資に応じて「株式」を取得します。

たとえば、株式会社が100株を発行していて、そのうち30株を持っていれば、その人は30%の株式を保有していることになります。

一方、合同会社などの「持分会社」では、株式会社のような株式はありません。

会社に出資した人は「社員」となり、その出資者としての地位を「持分」と呼びます。

つまり、

株式会社 → 株式

合同会社・合名会社・合資会社 → 持分

という違いが基本になります。

法務局も、合同会社・合名会社・合資会社を「持分会社」としてまとめています。

「株式」は会社の所有を細かく分けたもの

株式会社の場合、会社の出資者は「株主」です。

株式会社が100株を発行しているとしましょう。

Aさんが70株、Bさんが30株を持っていれば、

  • Aさん:70%
  • Bさん:30%

という形になります。

株式は、このように会社に対する株主の地位を細分化したものと考えるとわかりやすいでしょう。

株式には、原則として議決権や配当を受ける権利など、株主としてのさまざまな権利が結び付いています。

また、株式会社では、株式を譲渡することで株主が変わるという仕組みも重要です。

もちろん、定款によって株式の譲渡に会社の承認を必要とすることもできます。

「持分」は株式とは少し性質が違う

では、合同会社ではどうでしょうか。

合同会社では「株式を10株持っている」という表現はしません。

合同会社では、出資した人が「社員」となり、その社員としての地位を「持分」として考えます。

ここでいう「社員」は、会社で働いている従業員という意味ではありません。

会社に出資しているメンバーとしての「社員」です。

そのため、

「合同会社の社員=従業員」

ではありません。

合同会社の社員は、出資者として会社の経営に関わる立場を持つことがあります。

この点は、株式会社の「株主」と「従業員」を分けて考えるのと同じように、きちんと区別しておく必要があります。

一番大きな違いは「会社の仕組み」

持分と株式の違いを理解するとき、単純に、

「株式=株式会社」

「持分=合同会社」

と覚えるだけでは少し足りません。

その背景には、会社の運営方法そのものの違いがあります。

株式会社は、株主と経営者を分離することができる仕組みです。

たとえば、株主は会社に出資しているものの、日常の業務を自分で行う必要はありません。

株主総会で取締役を選任し、取締役などが会社の経営を行います。

一方、合同会社は、出資者である社員と会社経営との結び付きが強い会社形態です。

法務省も、合同会社について、社員が自ら業務を執行するという規律が原則として適用されることを説明しています。

つまり、

株式は「出資者としての地位」を細かく分けて扱う仕組み

持分は「会社のメンバーとしての地位」を一体的に扱う仕組み

という違いがあるのです。

「株式を買う」と「持分を取得する」は同じではない

ここは、会社に出資するときに特に注意したいところです。

株式会社の場合、

「この会社の株式を100株購入する」

というように、株式を取得することができます。

株式には、会社法上の株主としての権利が結び付いています。

一方、合同会社の場合は、

「この会社の持分を取得する」

という形になります。

ただし、持分の譲渡は株式の譲渡とまったく同じように自由にできるわけではありません。

合同会社では、持分の譲渡について、原則として他の社員との関係を考慮する必要があります。

これは、合同会社が株式会社よりも社員同士の人的な結び付きが強い会社形態だからです。

そのため、

「株式を売買する感覚で、合同会社の持分も簡単に売買できる」

と考えてしまうと、実際の手続きとの間にズレが生じる可能性があります。

株式と持分を比較するとこうなる

ここまでを簡単にまとめると、次のようになります。

株式持分
主な会社形態株式会社合同会社・合名会社・合資会社
出資した人株主社員
出資者の地位株式として分けられる持分として扱われる
経営との関係株主と経営者を分離しやすい出資者と経営の結び付きが強い
譲渡定款による制限がある場合もある原則として他の社員との関係が重要
「株を買う」できるできない

こうして比較すると、「株式」と「持分」は似た言葉に見えて、会社法上の仕組みはかなり異なることがわかります。

「出資した割合=すべて同じ割合」ではない

もう一つ注意したいのが、出資した金額と会社における権利関係です。

株式会社では、基本的には株式の数を基準として株主の権利が考えられます。

たとえば100株の会社で、

Aさんが80株
Bさんが20株

を持っていれば、株式の割合は80%と20%です。

一方、合同会社では、株式会社とは異なるルールが設けられています。

そのため、

「出資した金額が多い人が必ず株式会社の株主と同じように会社を支配する」

と単純に考えることはできません。

合同会社では、定款の内容が非常に重要になります。

会社の運営方法や利益の分配などについて、株式会社とは異なる設計ができるからです。

「持分」と「株式」の違いを知らないと、契約書でも困ることがある

この違いは、会社を設立するときだけの話ではありません。

たとえば、会社の持分や株式を第三者に譲渡するときには、契約書を作成することがあります。

そのとき、

「株式譲渡契約書」

「持分譲渡に関する契約書」

では、前提となる会社の仕組みが異なります。

特に合同会社では、持分の譲渡について会社法や定款の内容を確認する必要があります。

単純に「株式」という言葉を「持分」に置き換えればよい、というものではありません。

契約書を作成するときも、まず会社の種類と、その会社における出資者の地位を確認することが大切です。

まとめ

「株式」と「持分」は、どちらも会社への出資に関係する言葉です。

しかし、その意味は同じではありません。

株式会社では、出資者は「株主」となり、その地位を「株式」という単位で考えます。

一方、合同会社などの持分会社では、出資者は「社員」となり、その社員としての地位を「持分」として考えます。

簡単に整理すると、

株式会社なら「株式」

合同会社などなら「持分」

です。

ただし、本当に重要なのは言葉の違いだけではありません。

株式と持分では、出資者と会社との関係、経営への関わり方、譲渡の仕組みなども異なります。

会社を設立するときや、会社の出資者が変わるとき、株式・持分を譲渡するときなどには、「株式なのか、持分なのか」という最初の整理から始めることが大切です。

会社にお金を出すという点だけを見ると似ている「株式」と「持分」。

しかし、その先にある会社の仕組みは、決して同じではありません。

大野

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