契約条件がまとまらないときはどうする?契約書を作る前に整理すべきこと
「契約書を作りたいけれど、まだ細かい条件が決まっていない」
「相手と話し合っているものの、話がなかなかまとまらない」
「契約書の作成を依頼したいが、何を伝えればいいのかわからない」
このような状況で、いきなり契約書を作り始めるのはおすすめできません。
契約書は、契約条件をゼロから考えてくれるものではありません。
契約書を作成する前に、まずは当事者間で「何を合意するのか」を整理する必要があります。
では、契約条件がまとまらないときは、どうすればよいのでしょうか。
契約条件がまとまらないまま契約書を作るとどうなる?
契約条件が十分に整理されていない状態で契約書を作ると、さまざまな問題が起こります。
契約書の内容が曖昧になる
例えば、業務委託契約書を作成するとします。
しかし、
- 具体的に何を依頼するのか
- いつまでに納品するのか
- 報酬はいくらなのか
- 修正は何回までなのか
- 追加作業が発生した場合はどうするのか
といった条件が決まっていなければ、契約書に書く内容も曖昧になります。
その結果、「業務を行う」「適切に対応する」といった抽象的な表現ばかりになり、後から具体的な問題が発生したときに、契約書が十分に役立たない可能性があります。
契約書の作成途中で何度も修正することになる
契約条件が決まっていない状態で契約書を作ると、後から条件が変更されるたびに契約書も修正する必要があります。
例えば、作成途中で、
「やっぱり支払日は月末ではなく翌月末にしたい」
「この業務も追加したい」
「納品後の修正回数も決めたい」
という話になれば、そのたびに契約書の内容を変更しなければなりません。
契約書の作成が進まないだけでなく、当事者間で何を合意したのかが分からなくなることもあります。
そもそも合意できていない条件が契約書に入ってしまう
契約書を作成する側が、当事者の意向を推測して条件を補ってしまうと、実際には合意していない内容が契約書に入ってしまうことがあります。
契約書は、当事者が合意した内容を文書化するものです。
そのため、契約書を作る前に「何が決まっていて、何が決まっていないのか」を明確にすることが重要です。
まずは「決まっていること」と「決まっていないこと」を分ける
契約条件がまとまらないときは、すべてを一度に決めようとしないことが大切です。
まずは、条件を次の3つに分けてみます。
①すでに決まっていること
例えば、
- 誰と誰が契約するのか
- どのような仕事を依頼するのか
- 報酬はいくらか
- 契約期間はいつからいつまでか
などです。
すでに合意できている内容は、先に整理しておきます。
②話し合いが必要なこと
次に、まだ相手と合意できていない条件を分けます。
例えば、
- 納期
- 支払時期
- 修正回数
- 契約の解除条件
- 損害が発生した場合の責任
- 成果物の権利の帰属
などです。
ここは、契約書を作る前に当事者間で話し合う必要があります。
③まだ決める必要があるかわからないこと
契約書を作る際には、「そもそもこの条件を決める必要があるのか」という問題もあります。
例えば、初めて行う取引であれば、次のような問題が起こる可能性があります。
「この場合はどうするのか?」
「こういうケースも想定しておくべきではないか?」
しかし、すべての可能性を契約書に書こうとすると、契約書はどんどん複雑になります。
そのため、実際の取引にとって重要な条件から優先して整理することが大切です。
契約書を作る前に整理すべき7つの項目
契約条件を整理するときは、まず次の項目を確認してみるとよいでしょう。
1. 誰が契約するのか
契約当事者を明確にします。
個人なのか法人なのか、法人であればどの会社なのかを確認します。
特に、実際に話をしている担当者と、契約を締結する会社が異なる場合には注意が必要です。
また、複数の会社や個人が関係する取引では、誰がどの義務を負うのかも整理する必要があります。
2. 何をする契約なのか
契約の目的を明確にします。
例えば、業務委託契約であれば、
「何を依頼するのか」
「どこまでが委託業務なのか」
を具体的にします。
「ホームページ制作を依頼する」というだけでは、どこまでの作業が含まれるのかが分かりません。
- デザイン
- コーディング
- サーバーへのアップロード
- 修正対応
- 保守管理
など、どこまでを業務に含めるのかを整理する必要があります。
3. いつまでに何をするのか
納期や契約期間を確認します。
例えば、
「3月末までに納品する」
という条件でも、納品するものが複数ある場合には、すべてを3月末までに納品するのか、一部を先に納品するのかによって意味が変わります。
また、継続的な取引の場合には、
- 契約期間
- 更新の有無
- 更新方法
- 契約終了の通知期限
なども確認する必要があります。
4. いくら支払うのか
報酬や代金についても、できるだけ具体的に整理します。
例えば、
- 金額
- 消費税の扱い
- 支払時期
- 支払方法
- 振込手数料の負担者
などです。
特に、「追加作業が発生した場合にいくら支払うのか」は、後から問題になりやすい部分です。
基本料金に含まれる作業と、追加料金が発生する作業を整理しておくことが重要です。
5. うまくいかなかった場合はどうするのか
契約を順調に進めることだけでなく、問題が起こった場合についても考えます。
例えば、
- 納期に間に合わなかった場合
- 代金が支払われなかった場合
- 成果物に問題があった場合
- 相手が契約上の義務を果たさなかった場合
などです。
もちろん、すべてのトラブルを事前に予測することはできません。
しかし、取引上起こりやすい問題については、あらかじめ対応を決めておくことで、トラブルを防ぎやすくなります。
6. 契約を終了させる条件はどうするのか
契約を始める条件だけでなく、終了させる条件も整理します。
例えば、
- 契約期間が終了した場合
- 当事者間の合意で終了する場合
- 一方の当事者に契約違反があった場合
- 代金の支払いがない場合
などです。
特に継続的な取引では、「いつでも解約できるのか」「何日前までに通知する必要があるのか」を決めておくことが重要です。
7. 契約終了後に何が残るのか
契約が終了すれば、すべての義務がなくなるとは限りません。
例えば、
- 秘密保持義務
- 著作権や知的財産権に関する取り決め
- 損害賠償に関する規定
- 競業避止に関する義務
- 返還やデータ削除に関する義務
などは、契約終了後も問題になることがあります。
そのため、「契約が終わった後に何をしなければならないのか」も確認しておく必要があります。
条件がまとまらないときは「契約書を作る」のではなく「論点を整理する」
契約条件がまとまらないときに、いきなり完成した契約書を作ろうとする必要はありません。
むしろ、最初に行うべきなのは、契約条件を整理することです。
例えば、次のような一覧を作るだけでも、話し合うべき内容が見えてきます。
| 項目 | 現在の状況 |
|---|---|
| 契約当事者 | 決まっている |
| 業務内容 | 大部分は決まっている |
| 納期 | 未定 |
| 報酬 | 決まっている |
| 支払時期 | 要確認 |
| 修正対応 | 話し合いが必要 |
| 契約期間 | 決まっている |
| 解約条件 | 未定 |
| 契約終了後の義務 | 要確認 |
このように整理すると、「契約条件がまとまっていない」という状態を、具体的な問題に分解できます。
そして、当事者間で話し合うべきことと、契約書の作成時に検討すべきことを分けることができます。
契約書を作る人が条件を決めてよいのか?
契約書の作成を専門家に依頼した場合でも、基本的には当事者が合意していない条件を一方的に決めることはできません。
契約書を作成する専門家は、
- 取引内容を整理する
- 条件を確認する
- 条項として適切な形にする
- 条件同士の矛盾を確認する
- リスクになり得る部分を指摘する
といったサポートを行います。
しかし、最終的にどの条件で契約するのかを決めるのは、契約をする当事者です。
「この条件で契約してよいのか分からない」という場合には、契約書の作成前に、まず何が問題になっているのかを整理することが重要です。
契約条件の整理から契約書作成までサポートできます
契約書を作成したいと思っても、
「何を決めればよいのか分からない」
「相手と話し合うべき条件が整理できていない」
「契約書に何を書けばよいのか分からない」
ということは珍しくありません。
契約書は、単に決まった内容を文章にするだけのものではありません。
実際の取引内容を確認し、当事者間で合意した条件を整理したうえで、契約書として適切な形にする必要があります。
南本町行政書士事務所では、契約書の作成にあたり、契約内容や取引の実情を確認しながら、必要な条件を整理したうえで契約書を作成します。
すでに契約条件がまとまっている場合だけでなく、
「契約書を作りたいが、まだ条件を整理できていない」
という段階からご相談いただくことも可能です。
契約書を作成する前に、まずは取引の内容や決めるべき条件を整理してみてはいかがでしょうか。
契約書の作成についてお困りの場合は、南本町行政書士事務所までご相談ください。
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感情や立場の違いが関わる問題は、早めに整理しておくことで 将来のトラブルを防げる場合があります。
大野