ある国(仮に甲国とします)で1000万円をその甲人から借りた人(日本人)がいます。その時甲国でこの契約を締結しました。この甲国では保証契約は口頭でも成立するというルールだったとします。

そこでそのある人は日本人の友人に電話で、保証人になってくれと頼みます。了承を得て、甲人と電話で保証契約をすることにしました。

その後、そのある人が1000万円を返済せず、甲人は保証人に返済を迫ります。このとき保証人は日本の法律では、保証契約は書面でしなければならない(民法446条2項)ので保証契約は無効だと主張できるかという問題があります。

国をまたいでの法律行為の場合には、まず物権的な行為(所有権の移転など、売買による物の移動)か財産権的な行為かで分けて考えます。

保証契約は財産権的な行為ですので、通則法10条の話になります。

保証契約は、保証人は日本で承諾し、甲人が甲国から電話しています。

つまり申し込みは甲国、承諾は日本ということですね。

これは10条4項の適用となり、申込地または承諾地のいずれかの法律に適用していればよいということになります。

本件では日本の法律上は保証契約は書面が必要ですが甲国では不要です。そして甲国では申し込みをし、日本からですが承諾もされています。よって甲国の法律の適用として保証契約は日本の法律上の公序良俗違反でもない限り有効となります。

よって保証人は返済義務があります。

行政書士 西本