同意殺人罪という犯罪があります(刑法202条後段)。6月以上7年以下の懲役となっており、通常の殺人罪(199条)の死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と比べると非常に軽いことがわかります。

同じ、「人を殺す」という行為であるにもかかわらず、この差はどこから来るのでしょうか?

同意殺人罪が通常の殺人罪に比べて法定刑が軽いのは被害者の真意に基づく意思決定(嘱託)が存在することで違法性が減少することにあると説明されます。

命を自分で処分するのは自由だということを言っているのはありません。ただ、金品目的や恨みで相手の思わぬところで殺してその人の人生を終わらせる行為と、本人が心から強く死ぬことを希望しているためやむをえずその人の人生を終わらせる行為とでは、悪さに違いがあるでしょうということです。

そうなると、後から死ぬから先に死んでくれとか、嘘ついてだまして死んでもらっても同意があるとは言えませんので同意殺人罪にはなりません。

行政書士 西本