相手方から届いた契約書案に賠償責任条項がある場合、このままで契約しても良いですかといったご質問は契約書法務において当事務所へのご相談第1位です。

かかれている内容は

第〇条

甲は本契約各条項に違反し、相手方に損害を生じさせた場合、相手方に対しその損害を賠償する。

これに、すべての損害を賠償する、責めに帰すべき事由による損害を賠償するなどのパターンも多くみられます。

契約により損害賠償責任が生じる根拠は民法415条の債務不履行となります。

416条1項ではまず、相手方の責めに帰すべき事由によって損害が生じた場合には「通常損害」の賠償責任があることを示します。

通常損害とは、行為と損害との相当因果関係が認められる限りで生じる損害賠償責任です。

単に条件的な因果関係では足りず、相当因果関係が必要としています。

関連判例として、海外ブランド品の偽造品を真正品として販売した通販会社が、消費者に弁済、交付した⑴真正品の代金相当額(偽造品の販売価格を上回る)及び⑵商品券相当額につき輸入業者に対し損害賠償請求をした事案(東京地裁平15.9.19)です。

裁判所の見解としては、この通販会社からの賠償請求に対し過剰な賠償請求として、通販会社が主張する損害と輸入業者の行為との間に相当因果関係を認めませんでした。

通常と過剰の区別は社会通念、取引通念であるということを示しました。

西本