香港において逃亡犯引渡し条例に関してデモが発生していますね。
この条例は、 容疑者の身柄引き渡しを手続きを簡略化し、中国の本土等に刑事事件の容疑者を引き渡しを可能にするものだそうです。
これに反対する人や民主化を求める人たちがデモを行っています。

日本では、刑事施設などから受刑者などが逃亡したというニュースがたびたび聞かれます。
日本の刑法では、①受刑者が自ら逃げた場合の罪、②受刑者の逃亡を助けた場合の罪について規定があります。今回は①について書きたいと思います。

受刑者が自ら逃げた場合の罪としては、A単純逃走罪、B加重逃走罪
A単純逃走罪
  裁判の執行により拘禁された既決または未決の者が逃走したときの罪です
Q逃走って?
  刑事施設などから看守の実効的な支配を脱することで既遂(犯罪が成立)します。
Q既決って?
  既に確定した判決によって拘禁されている人です
Q未決って?
  勾留状によって拘禁されている人です
★確定した判決、勾留状によって拘禁されている人が対象となっているので、逮捕されて拘束された被疑者は対象外となります。
 すなわち、逮捕されただけの者が逃げたとしても単純逃走罪は成立しないことになります。

B加重逃走罪
  裁判の執行により拘禁された既決若しくは未決の者又は勾引状の執行を受けた者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して、逃走したときの罪です
★加重逃走罪は単純逃走罪と異なり、逮捕状により逮捕された者が含まれると裁判例では述べられています。
しかし、現行犯逮捕(逮捕状は不要です)や緊急逮捕(のちに逮捕状は必要です)の場合には逮捕状が発行されていないことから、加重逃走罪の対象とはならないと考えられています。

逮捕された者が逃げただけでは単純逃走罪は適用できず、逮捕されたものがただ単に逃げただけでは加重逃走罪(拘束のための器具を損壊、暴行脅迫などが要件となるため)は成立しません。
なので、逮捕された者が逃げた場合には公務執行妨害罪などを適用・運用していますね。
まず、捕まえたのに逃げられるということはあってはならないと思いますが・・・。

大野